学府・研究院長のメッセージ

社会科学系三分野の横断的な教育・研究によって経済社会問題の解決を目指す

佐藤 清隆 (Kiyotaka SATO)

 本大学院には、経済学専攻、経営学専攻、国際経済法学専攻の三つの専攻があり、博士課程前期と博士課程後期で高度な専門性を修得することができます。経済学、経営学、法学・政治学を専門とする教員が一つの部局に所属するという特徴を活かし、社会科学の各分野の英知を結集した教育・研究を行なっています。特に数理・データサイエンスの教育・研究を強化し、エビデンスに基づく分析を行う人材を養成することを目指しています。

 本大学院の前身は、1994年に創設された国際開発研究科、そして1999年に拡充改組された国際社会科学研究科です。いずれも国際的視野から社会科学の統合的な教育・研究を行なってきました。その後、2013年4月に国際社会科学研究院・学府として新たにスタートして現在に至ります。本大学院は、後発でありながら多くの修士号、博士号を授与し、高度専門家もしくは研究者として国内外で活躍する国際人材の育成に務めてきました。また、各国政府や世界銀行(World Bank)、国際通貨基金(IMF)、国際協力機構(JICA)等と協力して英語プログラムを開講し、多くの留学生を受け入れて、新興国の経済発展や国際交流に貢献する人材を育成してきました。これら英語プログラムへの参加や留学生との交流を通じて、グローバルに活躍する英語能力と国際感覚を持つ日本人修了者も輩出しています。

 横浜市や神奈川県等の産業界・行政とも積極的に交流し、具体的な戦略や政策と結びついた実践的な教育を創設以来重視してきました。2004年に開設した横浜ビジネススクール(YBS)では、社会人実務家を受け入れ、働きながら最短2年間で経営学修士(MBA)の学位を取得することができます。また、2023年度から社会人が社会科学の専門分野を横断的に学び、データサイエンスの技能を修得するリスキリング・コース(博士課程前期)も新たにスタートしました。本大学院には、高い問題意識と意欲を持った学生が集まり、切磋琢磨してスキルアップし、産業界等で活躍しています。また、博士課程後期に進学し、高度な研究能力を身につけて博士号を取得する修了生も輩出しています。

 世界経済はこれまでグローバル化の恩恵を享受してきましたが、自国第一主義の台頭により、保護貿易や国家間の分断が進んでいます。2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻、世界的な資源エネルギー価格の高騰、各国で急速に進む物価上昇等、世界各国は深刻な経済課題に直面しています。日本経済も大幅な為替レートの変動、巨額の財政赤字、景気の低迷、少子高齢化の一段の進行等、様々な課題を抱えています。このような世界と日本の直面する課題を分析し、新たな戦略やビジネスチャンスを創造するには、各国の経済、社会、制度等を理解するための社会科学の専門性に加えて、数理・統計分析の手法を修得して、エビデンスに基づく分析能力を身につけることが不可欠です。本大学院では、このような高度専門人材の育成を目指しています。

 経済学、経営学、法学・政治学の高度な専門性とデータ分析能力の融合によって、現代の経済社会の様々な課題を分析し、解決する能力を修得することを期待しています。

2024年4月

国際社会科学府・研究院長 佐藤 清隆


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